教養と実用としての文字書き 子供への習字の習わせ方

 

現代では文字でのやり取りも書類作成もパソコンやスマートフォンなどでできてしまうため、文字を手書きする機会も減ってきました。

そんな中、字を綺麗に書けるというのは未だに一種のステータスでもあります。
実利に結びつきにくいからこそ教養としての字の上手さが問われるのかも知れません。

そこで、今回は子供に習字を習わせるにあたって、

・子供に習字を習わせることのメリット
・習字はどのように習わせればいいのか
・習字が活きる職業にはどういったものがあるか

などについてまとめてみました。

 

習字について

習字とはどういうものか

習字というのは、読んで字のごとく字を習うことです。
学校教育では終戦の直後まで「習字」という名称だったのが、1971年から小学校で「書写」という名称で必修科目とされました。
つまり、現代では「書写」のことをいうわけです。

ところで、似たものに「書道」があります。
両者の違いは、「書写(習字)」が書き方を通じて字を学ぶのを目的とするのに対し、「書道」は芸術の追求であるというところにあります。
以下では、あくまでも「きちんと字を正しく書けるようにする」という目的での「習字」についてみていくことにしましょう。

学校教育と習字

ほとんどの方は小中学校で「書写」を習った経験があると思いますが、習字の歴史は元々の書道に源泉があります。
古来より漢字が大陸から入ってきて、それが万葉文字として用いられ、ひらがなとカタカナが形作られます。
書道の歴史とは、まさにその文字の流入と変容、発展の歴史にほかならないため、遡れば飛鳥時代以前の話となります。

近代の学校教育としての習字は明治期からとされており、国定教科書も作られました。
また、かつては文部省教員検定試験というものがあり、中学校や師範学校の習字科教員となるためには、この試験に合格する必要がありました。
それだけ文字を書くということが、国の文化の礎として重要視されてきたということです。

習字と言葉

習字は単に文字を書くという作業ではなく、言葉を文字として表すという訓練でもあります。
人間は言葉によって物事を考える動物ですから、読み書きというのは基礎としてできていなければなりません。
以下で示すように、子供のうちに習字を習わせることには大きなメリットがあります。

 

習字を習うことのメリット

字を書けるということ

筆順を守り、上手に字を書けるようになるというのが、やはり習字を習うことの最大の利点でしょう。
丁寧で読みやすい字を書く、というだけなら、必ずしも習字をやっていなくともなんとかなります。

しかし、丁寧で読みやすい字を素早く書く、というのは、積み重ねた鍛錬が物を言います。
たとえば高校や大学の入試に小論文試験を課しているところも多いですが、この時にはパソコンは当然使用できません。限られた時間内に論旨をまとめ、手書きで文章を書き上げる必要があります。
大学の試験の答案も同じくまだまだ手書きですし、国家試験にかかる論文試験の答案なども手書きが求められます。

つまり、手早く書きながらも読みやすさが要求される状況というのは、現代でも存外少なくないのです。

言葉を学ぶ

習字で書き取るのは文字ですから、習字を通して言葉を学ぶことにもなります。
たとえば四字熟語をいろいろと知ることもできれば、古典の一節に触れる機会ともなるわけです。

習字というのは文字そのものと向き合う営みであるため、言葉と文字の関係に対する感覚が磨かれます。
結果として言葉遣いにも影響が及び、きちんとした言葉を適切に用いることができるようになるのです。

姿勢と体勢

長時間デスクワークをしていると疲れて肩や腰が痛くなる、ということがあると思います。
これは座っている時の姿勢が崩れているためで、無理な体勢でいると身体のどこかに負担が掛かり、痛みや凝りが生じるのです。

文字を綺麗に素早く書くためには、書く時の姿勢や筆の持ち方が非常に大事です。
そこで習字教室に行くと、まずは正しい姿勢を徹底的に指導されます。
背筋を伸ばして、適切な距離をとってきちんと書く。これを子供のうちに身につけさせることで、大人になっても長時間の作業で疲れにくくなります。

他にも集中力が身についたり、行儀作法が身についたりといったように、習字を習うこと特有のものではないにせよ、メリットはたくさんあります。

 

習字教室について

いつから習わせるか

子供に習字をいざ習わせようと考えた時に気になるのが、いつから、何歳頃から習わせればいいのか、ということでしょう。

スポーツなどであれば、ある程度子供が身体を動かせるようになったら習わせても大丈夫だと思えますが、習字の場合は少し状況が異なります。
つまり、上でも述べたように習字とは文字を書くものですから、そもそも言葉が一定程度わかっていなければ習字をやっても身につかないのではないか、という問題があるのです。

これについては、大きく分けて3つの段階があると考えられます。
第1に、幼稚園の段階。さすがに幼稚園に入りたての頃は厳しいでしょうが、年長さんくらいともなると自分なりに動ける子供も多くなってくるため、一定時間黙って座ることを求められる習字教室でも、ついていけるはずです。

第2に、小学校低学年の段階。小学校に入学したあたりのタイミングで習字教室に通わせるという家庭は多いです。
やはり学校の国語の授業が始まり、そこで漢字の書き取りや感想文の作成といった勉強が行われることを見越してのことでしょう。
ちょっとした予習にもなりますし、いいタイミングといえます。

第3に、小学校高学年の段階。自発的に子供が習いたがる場合もあれば、やや落ち着きに欠ける子供をおとなしくさせるために親が習わせるという場合もあります。
この段階になると相当の文字は学習していますし、習字を始めるにも支障はないといえるでしょう。

いずれにしても、子供の状況と照らし合わせて、もっとも適した機会に習わせてあげるといいですね。

習字教室と費用

習い事としての習字のメリットとしてもう一つ挙げられるのが、比較的費用が高くないという点です。
スポーツにせよ芸術にせよ、習い事には何かとお金が掛かります。
ですが、習字教室の一般的な月謝の相場としては、だいたい2000~4000円程度。それに教材費が1000円前後掛かります。

これに加えて習字道具一式も手に入れなければなりませんが、これも3000~5000円程度であり、全てを合わせても1万円前後で始められます。
コストパフォーマンスという面で、習字はかなり良い習い事といえるでしょう。

習字教室は全国的にありますが、公益財団法人である日本書道教育学会では、全国2000箇所の書道教室の中から最寄りの教室を紹介してくれるというサービスを行っているので、問い合わせてみるのもいいでしょう。

・参考 日本書道教育学会
http://www.nihonshodou.or.jp/school/index.html

また、地域のタウン誌や図書館などの張り紙で生徒を募集している教室もあるので、そういったところから探してみるのもいいですね。

 

習字と職業

書道家として

文字を書くというのは基本能力でもあるため、ある意味どのような職業でも関わってくるものです。
ただ、敢えてその中でも習字や書道という点からみれば、書道家を志すという道がまず考えられます。

これは教室に通い、特定の流派について学び、各種コンクールに出品して受賞するといった過程を経ることになります。

教師・デザイナーなど

そこまで芸術方面に突き詰めなくとも、書道教室の先生になる、筆耕者(賞状や看板などの文字を書く仕事)を目指す、デザイナーとして活躍する、といった道もあります。

文字を書く技能を直接的に活かせる仕事にも、このように様々なものがあるので、一度調べてみるといいでしょう。

 

まとめ

文字をしっかりと書けるというのは、現代にあっても重宝される能力です。
また、教養としての面からも、字が下手なよりは上手いほうがいいのは当然でしょう。
子供のうちから習字を学ぶことで、字を書くことが苦痛ではなくなります。文字の読み書きが苦手ではなくなるという意味でも、基本となる習字を習わせるのには意義があることといえるのです。

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